今日のお題は「書評:小さな会社の稼ぐ技術 著・栢野 克己」
です。
この本は弱者(中小企業)が強者(大企業)に対して、どう勝つか?
という戦略、法則を教えてくれる本です。
[box02 title=”この本が参考になる人“]
中小企業を経営していて経営に行き詰まってる人
大企業が新規参入してきた中小企業の経営者
チームのリーダー
[/box02]
これらを主に著者の実体験や、知人の経営者の体験談などを交えつつ、小さな会社が大奇橋や競合他社に勝つにはどうすれば良いか?
その見つけ方が、きっと見えると思います🙂
■弱者が強者に勝つためにやることはこの4つ!
この本が伝えたい大切なことは「弱者が強者に勝つのはこの4つをやりましょう!」
その4つとは、これです。
1.差別化…弱者は、強い会社と違うことをする
2.小さな1位…弱者は、小規模1位、部分1位。何かで1位
3.一点集中…弱者は、あれこれしない。1つに絞る
4.接近戦…弱者は、エンドユーザーに直接営業する
栢野克己.小さな会社の稼ぐ技術(Kindleの位置No.539-541)
で、この戦略ですが名前がついていて、
「ランチェスター戦略」と言います。
アナタもどこかで
聞いたことあるかもしれませんね。
聞いたことない!
という人のためにかんたんに説明しますね。
ランチェスター戦略とは:
ランチェスターの法則というのは、イギリス人のエンジニア、フレデリック・W・ランチェスターが1914年に発表した戦闘の数理モデルのこと。
戦闘の数理モデルってなんだ?と思われるかもしれませんが、要は戦力などを数値化して、敵と戦ったら、どういう結果になるかを科学的に数字で表せるようにし、「こういう条件で闘えば、ほぼ必ずこうなる」という法則を発見しました。栢野克己.小さな会社の稼ぐ技術(Kindleの位置No.103-106)
これ何気なく書いてありますが、結構すごいですよね。
戦いに勝つか負けるかがある程度予測できる、
というわけですから。
と、ランチェスター戦略の説明はさておき。
戦いだけでなく、企業の経営でも同じように弱者が強者に勝つためには強者と同じことをやっていたらダメなのです。
できるだけたくさんの人へ多くのものを届ける。
TVや新聞などのマスメディアに広告出す
複数の分野にまたがって全体で1位を取る
これらは強者だから出来ること。
こうなると、戦力はつまり資本力。
結果は明らかですよね。
大企業に勝てるわけがない。
じゃあ、どうするか?
大企業とは違う軸で勝負する。
地域、客層などのターゲットを絞る
見込みの顧客へ直接営業アプローチ
特定の分野に絞ってそこだけで1位を目指す
弱者の戦略とはこういうことです。
大企業が力を入れにくい部分に力を入れる。
大手家電メーカーが冷蔵庫、テレビ、エアコン、電子レンジなど、家電全般で売上や販売台数など、全体で1位を目指すとして。
中小の家電メーカーが同じことやっても
勝てるわけがない。
そこで。
「○○だけに特化してみる」
僕がふと思ったのはダイソンさんの掃除機がまさにそうではないかなーと思いました。
差別化、小さな1位、一点集中、ですよね。
「吸引力が変わらない、ただ一つの掃除機」
ただ一つ。一点突破。
最近はTVCMで見ることも多いですが、販売当初は多分そんなことはしていなかったと思います。
(もしダイソンさんの販促の黎明期などを知っている方いればDMで教えて下さい…)
その他にも例はあって、
- 一風堂はラーメン事業に絞って年商を4億円から200億円に伸ばした。
- HISは創業から10年は海外格安航空券に特化して業績を伸ばした。
などなど。
アナタも聞いたことがあるような会社も
実は弱者の戦略で
勝ち上がってきたのです。
■差別化、小さな1位、一点集中、接近戦…それって例えばなに?
ランチェスター戦略で大事なことは「差別化、小さな1位、一点集中、接近戦」
と言いました。
「例えばどういうもの?」
「もうちょっと具体的に…」
と思いますよね。
というわけでもうちょっと具体的に。
・手作り、少量生産、オーダーメイド
・市場が小さい、ニッチ
・衰退産業
・イメージが悪い、怪しい栢野克己.小さな会社の稼ぐ技術(Kindleの位置No.842-843)
というものです。
どれも大手が手を出しにくい分野ですよね。
僕が面白いな、と思った例は、関西のある畳屋さんの例ですね。
フローリングの普及で和室は激減し、畳業者さんも減少したのですが、この畳屋さんは和食店、飲食店などの畳の交換や、インターネットでの畳の販売などで
生き残り、ほぼ独占状態とか。
面白いですよね。
他のもたくさん事例は掲載されています。
というよりも、本書の構成として、
冒頭からの2割 著者の経験
中盤の6割 事例を交えた弱者の勝利例
後半の2割 まとめと竹田陽一氏(著者が師事したコンサルタント)の語録
という構成で、弱者が勝つ法則について、詳しく事例で説明してくれます。
どれも興味深い、面白い例なので
興味を持った方はぜひ
本書を手にとって見てくださいね😀
■弱者が勝つための法則はわかった!…で何からやればいいの?
弱者が強者に勝つための
ランチェスター戦略を紹介してきましたが、「よし、じゃあ今日からランチェスター戦略でやろう!」
…と思ったとして。
具体的にどうすれば良いかわかりますか?
…多分
「はて?何から始めよう?」
となりませんか?😅
弱者が勝つための
ランチェスター戦略についてを知ったところで
具体的な行動が変わらなければ勝つとか負けるとか以前のお話。
じゃあ、どうするか。
それが自社分析。
本書の例でピックアップされていた
会社の社長さん方も
皆さん悩まれています。
「ウチの会社が他に勝てる要素はなんだろう…?」と。
先程の一風堂の社長河原さんも悩まれています。
ラーメン博多一風堂の河原社長が40歳を過ぎて気づいたことです。
それまではラーメン店のほかに、焼き肉店、居酒屋、たこ焼き店、カレー店、さらには浄水器販売やパソコンスクールまでやっていました。
しかし、どれも中途半端でそれぞれの専門家には勝てない。
そこで44歳の時、ラーメンに一点集中し、ほかの事業は廃業しました。
その結果、4億円だった年商は200億円を超え、大躍進しました。栢野克己.小さな会社の稼ぐ技術(Kindleの位置No.809-813)
これ以外にも
なかなかシリアスな状況の話もあり、
「とりあえずランチェスター戦略をやればなんとかなる」
「ランチェスター戦略で一発逆転できる」
というものではありません。
本書で紹介される経営者の皆さんは、それぞれたくさんの試行錯誤や、強みを見出すまでの苦難の期間も経て、自分たちなりの勝つ法則を見つけ、大きく飛躍していました。
「じゃあ、その自社の分析ってどうやるの?」
と思いますよね。
本書内でも触れられていますが、オーソドックスなものとして
- 自社
- 顧客
- 競合他社
のいわゆる3C分析を手始めにやると良いと思います。
理由としてはこれが一番イメージしやすいのと、考えることが3点なので、負担が少ない。
ビジネスを分析する手法ってたくさんあって、どれもこれもそれなりにややこしいのですが、3C分析は比較的とっつきやすいと思います。
・自社…自分の会社って何が強いのかな?何が良くて選ばれてるのかな?
・顧客…お客さんてどんなことに困ってるのかな?年代や性別、地域に偏りはあるかな?
・競合他社…同じ商品サービスを扱っている他の会社はどんなことが得意かな?
改めて考えてみると意外と知らないことって多いです。
調べられること、想像しないとわからないことがあると思いますが、全く何もない状態よりは、自分たちの強みを考える上で、見えてくることは多いと思います。
まとめ:弱者が勝つためには一点集中!強者と同じことはしない!
というわけで
「小さな会社の稼ぐ技術 著・栢野 克己」の書評でした。
弱者が強者に勝つ方法。
それはつまり、「局地戦で挑め!」ということ。
特定の分野、特定の機能、特定の場所に特化して戦う。
大手が手を出せない辺境の地で勝つ。
場所でも時間でも商材でも、条件はいろいろあります。
本書は主に企業経営について、というところに視点が置かれていましたが、これって、会社のサラリーマンにも言えますよね。
例えば周りの上司や同僚が優秀な人ばかりだったとして。
同じところで自分が勝負して勝てるだろうか?
すでに結果を出している人がいて、そんな人に普通の人が同じ土俵で勝負して勝てるか?
という話です。
それよりも、
- 「自分が誰にも負けないのは何か?」
- 「これは他の人ではできないことだな!」
という自分だけの強みを見つけて、それで勝負をした方が勝つ見込みも増えるし、楽しいのではないでしょうか。
もちろん、それ以外を捨てる、というのはサラリーマンはなかなか難しいかもしれませんが😅
でも、少なくとも
強みがわからないままでいるより、ずっと良いと思います。
というわけで、
中小企業を経営していて経営に行き詰まってる人
大企業が新規参入してきた中小企業の経営者
だけでなく、会社勤めしていて成績が思わしくない
サラリーマンのそこのアナタ!(と僕!)
本書を読んで、勝つための法則を見つけましょう!一緒に!🙂