- クレーム対応で最も大切な心構え
- 電話受付歴5年が実践した8つのクレーム対応パターン
- 実践したクレーム対応により効果を感じた3つのこと
自分の仕事に不備があり、お客様から苦情を頂いてしまった…
部下のミスで責任者としてお詫びしないといけない…
とにかく怖いお客さんがいて、対応するのがしんどい…
アナタもお仕事していて、こんなことありませんか?
僕も電話受付の仕事を5年以上やっていたことがあります。
苦情(クレーム)の電話もありました。
ツライですよね、クレーム対応。
お気持ちよーくわかります。
おかげで僕は電話の音が大キライになりました。
個人的にエグかったのは
- 「詐欺だ、金返せ、訴えてやる!」
- 「いますぐ社長出せ!」
- 「くぁwせdrftgyふじこlp!!」
(※何言ってるかわからないがとにかく怒鳴ってる)
こういう感じの話ができそうにない感じの電話はキツかったですね。
でも、何件も対応していく中で、対処のコツみたいなことも学ぶことができたのです。
クレーム対応で最も大切なことは「まず自分の心を守ること」
電話の音が大嫌いになるくらい心が折れるクレーム対応で
一番大切なことは「自分の心を守ること」です。
「お客様に理解してもらう!」…ことでは無いんです。
なぜ自分の心を守ることが大事なのか?
その理由は3つ。
- 自分の心と体の健康を守ることができる。
- 仕事を長く続けられて、キャリア形成にメリットがある。
- 実は長い目で見るとお客さんとの関係も良好になる。
それぞれ僕の経験も交えてひとつずつお話ししますね。
「自分の心を守ること」がなぜ大切なのか?
僕がクレーム対応するときに最優先したのは「まずは自分の心を守ること」でした。
「え!?クレーム対応で、自分のこと優先なんてどういうこと!?」
と思われるかもしれません。
それにはいろいろ理由があって、自分を守るだけで無く、実は会社のためにもなり、さらにお客さんとの関係を守ることにもなるからなんです。
自分の心と体の健康を守ることができる。
まずは「自分の心を守る」ことで心身の健康を保つことができる。
世の中には、クレームの連絡を受けても、ビクともしない鋼鉄のハートを持っている人もいます。
でも、世の中の人が全員、鋼鉄のハートを持っているわけじゃない。
もう一度言いますよ。
世の中の人が全員、 鋼鉄のハートを持っているわけじゃないです。
少なくとも僕は鋼のハートではない。
体も心も、健康は本当に大事です。
一度健康を壊すと後に残ってしまう。
通院や薬の服用が日常になると毎日の生活にも支障が出てしまいますよね。
健康は悪くなってから治すより、最初から悪くならないように予防することが大事です。
体だけで無く心も同じ。
一度体を壊すと、その後の方が大変なのはわかると思います。
ムリに頑張り続けて体や心を壊してしまったら…。
そうなってからでは遅い。
たとえ似たような人が世界に100万人もいたとしても、アナタの100%完全な代わりになれる人は絶対にいません。
まずはアナタ自身をアナタが大事にしましょうね。
仕事を長く続けられやすく、キャリア形成になる
自分の心を守ることを優先することで、クレーム対応がしんどくてもダメージを軽減することができる。
具体的な対策は後の段で書きますがクレーム対応する際「一番自分がやりやすい現実的な対応策は何だろう?」と考えて対応を考えるとトラブルの対応力も付きますし、実際に解決できれば負担そのものを軽くすることもできる。
なにしろ自分が一番やりやすい方法で対処策を考えるわけですからね。
- 対応の負担が減ればクレーム対応で受けるダメージが減る。
- ダメージが減れば仕事を辞めずに長く続けられる。
- 長く仕事を続けられれば勤続経験そのものが強みになったり、経験を積むことで対応力を高められる。
- 経験や対応スキルがあれば昇給や転職時にも有利になる。
- ついでに同僚や上司に負担をかけずに済むから会社のためにもなる。
ということ。
つまり自分の心を守って仕事を続けることは自分の強みを磨いたり、キャリア形成につながるのです。
その場限りで対応しても後が続かない。
何だかんだで仕事はできるだけ長く続けられた方が、転職のときでも印象は良いし、ビジネスパーソンとしてのメリットも大きい。
自分一人で対応できるようにすれば他の人の手を借りる(=他の人の業務を圧迫する)ことにならず、会社としての負担も最小限。
けして自分だけラクをするためにやるわけじゃ無いんです。
だって何しろ長い目で見ればお客さんのためにもなるんですよ。これが。
実は長い目で見ると、お客さんとの関係も良好になる
3つめ。
自分の心を守れば「最終的にはお客さんとの関係も良好になる」これは実体験です。
僕が電話窓口の業務を担当したとき、当時の職場の状況がかなりカオスでした。
対応フローは各自で判断、マニュアルらしいマニュアルもなし。
体制がほとんど整備されていない。
相談しようにも上司も事務所に不在なことも多い。
そんな状況で2,3日に1件は苦情の電話がかかってくる。
「電話口でお詫びと対応策の調整をしてたら1日終わってた…」
なんて日も、しょっちゅうでした。
しかも、別にコールセンター専属業務というわけでは無かったので、他の仕事にも支障が出る。
電話対応だけしてりゃいいわけじゃない。
でも、電話対応は自分の担当範囲なので対応するしか無い。
あの時はホントしんどかった…。
(思い出すとまたザワザワする…笑)
しかしそんな状況でもめげずに仕事を続けていると、面白いことが起きるんですよ。
名前を覚えてくれるお客さんが現れる。
「いつも悪いね」など一言をもらえるコトも出てくる。
たとえ苦情対応であっても、継続的に同じ人がしっかり対応を続けることで
関係が深まるコトってあるのです。
もちろん、だからといって相手の言いなりになってはいけませんよ。
- できること、できないこと
- 時間がかかること
- お金がかかること
きちんとお伝えした上で、お付き合いしましょう。
「何で?すぐやってよ」とか言われたときは
「恐れ入りますが弊社では、その対応には時間を頂いております。その点はご理解を頂く他ありません。申し訳ございません」と返す。
ちゃんと断る。
自分を守りつつ、相手とどうやって細く長く付き合うか、ということが大切です。
ちなみにですが、さらにその後どうなったかというと、
ずっと連日のように文句言っていたお客さんから、
数年後に100万円近いご契約を頂いたこともあります。
「わかった。じゃあ、お願いするからよろしく」と言われたときは(ウソでしょ!?)と耳を疑いました。笑
そして「ようやくここまで到達できた…!」と感動に近い達成感がありました。
長かった。笑
粘り強く対応すると、こんな流れができるんです。
- 苦情対応で自分の心が折れないよう守る。
- 長く仕事を続けることができる。
- お客さんと関係値が深まる。
- まっとうなビジネスパートナーとしてのお付き合いに発展!
なお、このようなケースは一件だけではありませんでした。
金額や数の違いがあっても、複数のお客様で起きたので、再現性もある。
自分の心を守って対応することはけっして独りよがりではないんです。
最終的には自分も、お客さんも、会社も、三者に取って良い関係が築ける。
だからこそ、僕はアナタに伝えます。
まず自分の心を守ることが大事なのだ、と。
こうして改めて整理してみるとすべて「長期目線でどうお客さんと向き合うか?」ということがいかに大事かわかります。
短期単月で売り上げが減った、増えたで一喜一憂してる会社はどこかで限界が来て倒れます。
当たり前ですね。
同じ場所でずっと足踏みを繰り返してるだけですから。
長期的に、継続的に0.1でも良いから、お客さんとの関係にちょっとずつの右肩上がりの関係を長くつづけられるかどうかが重要です。
クレーム対応がしんどいときに、自分のメンタルをケアする方法
じゃあ、クレーム対応がしんどいときに、
自分のメンタルをケアする方法って何があるの?
と思いますよね。
僕はこの手の気分転換の方法は色々試したのでそれを紹介します!
運動する
運動は重要です。心と体はお互いに影響しあっている。
不安な状態になったり、会社に行くのがイヤで、モヤモヤすることがあったとしても、20分、30分くらい家の周りを散歩してくると、ちょっと気持ちが軽くなったりする。
僕も過去の職場でクレーム対応に頭を悩ませ、眠れなくなったりしたとき、
「これはヤバイ!」と思って週に1回2,3kmほど軽めにジョギングするようにしたら、気持ちが沈みにくくなりました。
「体を動かすと、気持ちが軽くなる」ということは科学的にも証明されています。
旅行に行く
家でじっとしているだけでは、休息にはならないんです。
なぜならいつもと同じ慣れ親しんだ空間だと、新しい刺激が無い。
そうするとまた次の週から始まる仕事についてあれこれと考えやすくなる。
まだ仕事は始まっていないのに休みの日まで仕事のことで頭がいっぱいになって、疲れてしまう。
これじゃあ休めない。
そこでオススメなのが旅行。正直僕に取っては一番これが良かったです。
これまで行ったことが無かった場所、見たことないもの、会ったこと無い人。知らない町。
新しい刺激だらけですね。
イヤでも気分転換になります。
過去に行った旅行先の記事も紹介しておきますね。
習い事を始める
平日の仕事で疲れ切っているのに、
週末に何か新しいことをするなんて無理!
と思うかもしれませんが、旅行と同じ理由で、新しいことを始めると、イヤでも気分転換になります。
僕は過去、色々習い事をしてみたことがあります。
- ピアノの弾き語り
- ヨガ教室
これは間違いなく気分転換になりました。
もしやってみた習い事がハマれば新しいスキルの習得にもなって一石二鳥です。
始めるときにちょっと勇気がいるかもしれませんが、最初だけです。すぐ慣れますよ。
広々とした自然の場所へ行く。
今はご時世的に旅行が難しいかもしれませんので、旅行の代わりとして、「広々とした自然の場所へ行く」のもありです。
例えば海とか山ですね。
本格的な水泳とか、登山とかじゃなくて良い。
車や電車でちょっと行けば海や山があるのなら遠くから眺めて見るだけでも良い。
雄大な自然を眺めるとそれだけでも気分転換になるはずです。
近くに自然がないなら、空港などの大規模商業施設でも良いかもしれません。
実際、僕は過去に気分転換のために空港に行ってみましたが、これが結構良かったのでオススメです。
クレーム対応で具体的に僕がやったこと
「自分の心を守ることが大事なのはわかったけど、具体的にどうすれば良いの!?」
「もっと実践的なことが知りたい!」
と思いますよね。
この段では僕が実践していたことを思いつく限りお伝えします。
一つでも参考になれば幸いです。お詫びをする時は先に言う。責任範囲は明確に。
お詫びをする時の注意点は、最初にまず先に頭を下げてしまうこと。
これで相手の怒りの感情を削ぎ落とすことができます。
重要なのはお詫びは、「こちらに落ち度があった箇所」についてのみ、お詫びする。
これはクレーム対応の鉄則ですね。
お詫びするなら会社として責任がある範囲で。
「まず始めに、この度は○○について不備があり大変申し訳ありませんでした」と言い切ってしまう。
で、そのときに「ホントそうだよ、○○が△△でさ!それで…」
とかお客さんからあれこれ言われると思います。
ここで反論したくなる気持ちはわかります。
ですが!
ここはグッとこらえて黙って
頷きながら聞き役に徹してください。
そうすることで、相手をさらにヒートアップさせずに済むのです。
ついでに自分も落ち着いてきて、相手を観察する余裕も生まれてきます。
「申し訳ございません」は3回を目安にする
僕はクレーム対応時、一度の対応で「申し訳ございませんは3回以上は言わない」という目安を決めていました。
「申し訳ございません」を使うのはこの3回。
- 話の切り出し:「○○についてご不便をおかけして申し訳ございません」
- 状況の説明:「○○が○○でこのような状況となりました。申し訳ございません」
- 最後の締め:「以上が私どもの対応できるところと考えております。このたびは申し訳ございませんでした」
って感じです。
基本、このタイミング以外は言わない。
話の流れで一つ二つ増えることはありますが、それ以外は乱用しない。
理由はカンタンで「言い過ぎると軽く聞こえる」から。
「とりあえず謝れば良いんでしょ」という風に聞こえてしまう。
また会話の中で何度も「申し訳ございません」を連発すると不自然になってきますし、何より「とにかく全部こちらが悪い、何でもします」という印象を与えかねない。
お客さんの性質にもよりますが、相手を無用に強気にさせてしまうのは良くない。
仮にこちらの不備であっても、です。
「申し訳ございません」の使いどころは注意が必要なポイントだと僕は思っています。
あと当然ですが土下座など無茶な要求までされたら「それは致しかねます」と突っ返して、その場は引き上げましょう。
金銭の要求されてもその場で独断で判断はしないように。
「かしこまりました。私の一存では判断できないので上長と相談させてください」
でその場は収める。
相手の要求がエスカレートして収集がつかなくなる危険があるからです。
たとえお客さんから強く言われても、個人の判断で無理難題に応じないように!
クレーム対応時にあえて言う「ありがとうございました」(個人的にとてもオススメ)
「ありがとうございました」
を使うポイントを発見したときは自分でも
「これは大きな発見では…!」と思いました。
どこで使うか?というと。
「対応が終わった時にサラリと」です。
電話なら切る寸前。
対面なら退出する寸前。
「この度はいろいろとご指摘頂きまして」とか
そういうオマケの言葉は不要。何もつけない。
余計な言葉をつけると蒸し返して逆に印象悪くなる可能性あるので
とにかく何もつけずシンプルにいきます。
たとえばこんな感じで。
「それでは今日はこれで失礼致します。(一拍おいて)ありがとうございました」
という感じ。それだけ。
コレの何が良いかというと、
- 自分の精神状態を落としすぎない(自分の心を守る)
- 相手に必要以上の優越感を与えない(強気にさせない)
- 次に連絡する時にちょっと心が軽くなる(今後の備え)
ということ。
「申し訳ございませんでした」とお詫びの言葉で締めてしまうと「こちらが何か悪いことをした」印象を残して終わります。
そして相手も「こいつらは何か悪いことをした」と無意識に感じてしまうのです。
それに単純にお詫びの言葉で終わるより感謝の言葉で終わった方がちょっとだけ気持ち良いと思いませんか?(ちょっとだけですが…)
話の流れからするとすこし不自然に感じるかもしれませんが、それでもOK.
思い出してください。
クレーム対応のときに大事なのは「自分の心を守る」ことです。
もちろん僕も最初の頃は「申し訳ございませんでした」とお詫びの言葉で対応を終えていたのですが、
「なんか良くないなあ…。他の言葉って無いかな?」
と思って、思案した結果「感謝の言葉で締めるのはどうかな?」と、思い至りました。
これが正解で、体感的に気持ちが重くなりすぎないで対応できました。
感謝の言葉で締めることでお詫びのときの、あの申し訳ない気持ちを
引きずらないで済む。
そうすると次回連絡を取ることがあったときでも、気持ちが軽くなる。(少しだけですが…)
それでも気が重くなりがちなクレーム対応のしんどさを1%でも和らげることができるのではと。
終わりは「ありがとうございました」で締める。
個人的にオススメです。
あえて沈黙の間を取る
これもオススメです。
特に対応に慣れてないときってつい何か言い返したくなったり、すみません、すみませんと連発したり。
だがしかし。
あえて沈黙の間を取る。
とにかく相手に好き放題言わせる。
そうすると不思議と自分の心が落ち着いてきます。
どこか客観的になる心境です。
相手も言いたい放題言い尽くすと落ち着いてきたりしますし。
ちなみに、僕は苦情対応をしすぎて慣れてきたので、「今回はいつもよりもさらに黙ってみよう」
と試したら
「おい、聞いてんのか!?」と言われたこともありました。
でもそんな時は「はい、聞いております!」と間髪入れずに答えてました。
実際、聞いていますし。
しかしその後はまた黙る。
とにかく相手に吐き出してもらう。
相手からワーワー言われると、こっちの感情もそれにつられてしまって、つい反論やとりあえずのお詫びの言葉を言いたくなってしまうかもしれません。
しかしそれは悪手です。
相手も感情的になり、こちらも感情的になってしまうと事態はさらに悪化します。
あえて沈黙することで状況の悪化を抑え、相手の気持ちの温度を下げる。
「雄弁は銀、沈黙は金」という格言もありますからね。
お金かかること、時間がかかること、できないことはしっかり伝える
相手の第一撃をしのいだら、さらに防御を固めます。
- できること、できないこと
- お金がかかる、お金がかからない
- 時間がかかる、かからない
これを基準にお客さんに対応策を案内する。
もちろんアナタ個人の基準ではなく、会社として責任を持てる範囲のみで対応案を提案する。
切り返すときの言葉はこんな感じ。
「詳しくお話頂きましてありがとうございました。○○についてご迷惑、ご不快な思いをさせてしまいまして大変申し訳ございませんでした。改めまして私達の方で責任を持ってできることをお話いたします」
という感じ。
つまり裏を返せば「責任が取れない範囲の対応はしない」ということ。
もしアナタ一人で判断できなければ、
「恐れ入りますが、この場で私一人で判断は致しかねる範囲です。上席者と相談させていただいた後に、改めて回答いたします。対応の可否については○月○日に一報を入れます」
で一旦間を空けて、上司と対応を相談しましょう。
やってはいけないのは頭がテンパったたま無責任に答えちゃうこと。
「わわ、わかりました!すす、すぐやります!」みたいに答えてしまうと更に泥沼にハマります。
そして、それをやってしまうと相手が「あ、こいつは強く言えば、言うこと聞くんだな」と思われます。
これは最悪です。
おそらく次も怒鳴ってきます。
もし
すでに言っちゃっていたとしても、大丈夫。
次から対応変えましょう。
「前回は対応いたしましたが、あれはあの時限りとして会社として調整した特別な対応です。今回は無理です」
とか。
偉そうにこんな記事を書いている僕も最初は全然うまくできなかったです。
少しずつ、じっくり変えていきましょうね👍
こちらに不備があっても交渉できることは交渉してみる
これを相手に言うのは勇気がいるかも知れませんが、それでも交渉してみるメリットはあります。
特に時間とお金に関する交渉は重要。
例としては
「頑張れば明日でもできる対応」
があったとして
「明日は無理ですが、3日後なら間違いなく出せます。いかがでしょうか?」
とか。
そうすることで精神的に落ち着いて対処できる。
二重事故が防げますし、もしかしたらプラスアルファの提案ができる余裕が出てくるかもしれません。
クレーム対応のときの「リカバリー対応」は重要です。
それはなぜか?
理由は、リカバリー対応が良いと、お客さんの心象が逆転して会社のファンになってくれることもあるんです。
いわゆる「ツンデレ理論」
または「子犬を助ける不良理論」。
印象が悪いところから印象を持たれるように好感度がV字回復した場合、それまでよりも
ずっと好印象を持たれる。
慌てて対処するより現実的な対処、むしろ余裕があるくらいの対応になるようにお客様とお話し合いをしてみましょう。
ただ、状況を見誤ると火に油を注ぐことになるので、慎重に見極めましょうね。
こちらからアプローチして主導権を取る
僕の担当していたお客様に、こんなお客さんがいました。
とにかく電話をしてくる。
「あれはどうなった?これはこれで良いのか?こういうのがあるけど、どうなんだ?」
と2日に1回くらいの頻度で連絡が来る。
正直困りました。
僕がそのお客様の専属対応というわけでもないのに、他のスタッフも対応を嫌がって僕に回ってくるという
で、どうするか僕は考えました。
「ご連絡ありがとうございました。それについては○○なので今は考えなくて大丈夫です。頂いた内容の■■と▲▲についてはお調べして来週月曜にご連絡いたします」
と、こっちから連絡する約束を入れることにしたのです。
そして、その約束通りに連絡を入れて
「本日はありがとうございました。では次は来週の月曜に私から連絡を入れますね」
と次の連絡予定のこちらから入れる。
つまり
「厄介な仕事は自分の管理下に置いて主導権を握る」
ということ。
最初それでも電話かかってきましたが、粘り強く継続した結果、なんと。
2週間くらいなら連絡を待ってくれるようになりました。
対応始めてから3年くらい経ってましたが。
これは僕にとって大きな成果でした。
「あんな気難しかったお客さんとうまく関係を調整できたぞ!」と。
今振り返って思うと、たぶん、「不安だった」のでしょうね。
あのお客さんは。
なんでお客さんが不安だったかというと、
僕の前任の担当者が、かなりいい加減な対応をしていたみたいで。
だから「安心して良いですよ、ちゃんと私達が対応しますよ」
とアピールするようにしてみたのです。
これは正解でした。
あ、「私が対応しますよ」はダメですよ。
「私達が(会社が)対応しますよ」というニュアンスは常に伝えましょうね。
あくまで会社組織での対応をしましょう。
個人で責任を負うようなことはしてはダメです。
ゴッドファーザーという映画をご存知でしょうか?
その中でこんなセリフがあります。
「友は近くに置け。敵はもっと近くに置け。」
マイケル・コルレオーネ – Wikipedia
(マイケル・コルレオーネ。映画:ゴッドファーザーの登場人物)
どういうことかというと、イヤだからといって敵やトラブルを見えない所に置いてしまうと、知らない間に手がつけられない強敵や、対処できない大火事のようなトラブルになる。
だから、あえて目が届く居場所に置いておけ、ということのようです。
もちろん、これを鵜呑みにして周りを敵ばかりにすると今度はこっちが疲弊してしまうので、限度はあると思いますが、ポイントは同じ。
一人で対応しない。周りを巻き込む
クレーム対応でやってはいけないのは一人で抱え込むことです。
- アナタが担当者なら、必ず上司に報告と相談をしましょう。
- アナタが上司なら、必ず部下のフォローをしてあげてください。
- アナタが同僚なら「なんかあったの?」と声をかけてあげてください。
隠蔽する、誰かに押しつけるなんて論外です。
会社として、チームとして適切に対処しましょう。
クレームはたとえ個人のミスがきっかけでも、起きた時は必ず会社の仕組みやサービス内容に改善するべきポイントがあります。
間違いなくあります。
僕の過去の職場で言えば、
- 誤った成果主義による評価制度の不公平さ
- 部署内の人間関係の悪化によるコミュニケーション不全
- 営業にばかりひたすら力を入れてサービス改善を放置
- 美味しい仕事の抱え込みと面倒な仕事の押し付け合い
- 業務効率を現場の人対応任せにして業務過多
業績も悪化、スタッフへのプレッシャー増大、業務過多によるミスやトラブルの発生。
悪循環。
会社の中の雰囲気や人間関係が大きく悪くなり、それが遠因になってトラブルやクレームにつながっていた、と僕は見ています。
正直なところ、人を巻き込むということは残念ながら、僕はあまりできませんでした。
結構一人で抱え込んでしまって精神的に追い詰められたこともあります。
上手に人に頼るのって難しいですよね。
上司、先輩、同僚など周りの人と連携を取り、一人だけ負担を背負うようなことにならないようにしましょう。
アナタも身近な誰かが一人で背負ってしまいそうだったら
できれば声をかけてあげて下さい。
「誰かと一緒に対処する」
そうするだけでだいぶ心は楽になりますよ。
ちなみにですが、もし苦情の対応を担当者一人に押し付けて、上司も会社もなんの支援や助言もしないような会社はマトモな会社じゃないです。
一刻も早く脱出のために
転職活動を開始してください。
言いにくいことは結論から言ってしまおう
お客さんからの要望で会社として対応できないことはもう最初から言ってしまいましょう。
「お客様、結論から申し上げます。
まことに恐れ入りますが、そのご要望は弊社では対応いたしかねます。理由としては○○だからです。代わりとして○○ならできますが、いかがでしょうか?」
って感じです。
「結論から申し上げます」とあえて言葉のアタマにつけることで逆に言いにくいことも言いやすくなります。
会社としてできる代案を出していますのであとはお客さんがどうするかは考えてもらいましょう。
できないことをできますって言ってしまうほうがダメですからね。
できないことを先に言っちゃう。言い切る。
この「結論から申し上げます」をつけることで自分も言いにくいことが言いやすくなります。
最初はちょっと勇気が要りますけど、ごちゃごちゃと言い訳を考えるより手っ取り早いです。
だって、できないことですから。
誰がなんと言おうとできないことはできない。
結論から申し上げて、当社としてそれは致しかねます。
理由をあれこれ思案するのが面倒なら
「当社ではそのような対応はいたしかねます。当社の取り決めで私ではどうしようもできません」
逆に上司や同僚が「お前個人の責任でやれよ!」みたいな人が会社にいるなら
これまたマトモな会社じゃないので転職して良し、どころではなく、それはもう転職しないとダメなレベルです。
とにかく会社の仕事で起きたトラブルは基本的に会社として対処するのが筋です。
いやいや、どれもこれもハードル高いんですけど…
これらのクレーム対応の具体策を読んで、アナタはどう思ったでしょうか?
「いやいや、どれもハードル高いんですけど…」
「お客さんこわい。私にはムリだ…」
「そんな事言われても、できるならやってるよ…」
…そうですよね。
色んな事情から難しいことも多いと思います。
僕も初めてクレーム対応するお客さんとか、経験が浅い頃とか、アタマが真っ白になったりすることもありました。
僕はインドア派でひとりでいるのが好きな方なので
だれかと話すのは、そもそもであんまり得意では無いです。
人に頼むのも苦手。
「明日がクレーム対応でお客様先の訪問」
という日はイヤでイヤで眠れなくなったこともしょっちゅうでした。
でも安心してください。
僕も最初から全部やっていたわけでは無いですし、最初から全部うまくいった訳でもないです。
5年以上の窓口対応していた経験の中で、毎日、毎日、少しずつ試していたことの結果。
改めて整理したのがこの記事の具体的な対策なのです。
それこそ、最初の頃なんて、訳もわからず
「わわ、わかりました!すす、すぐやります!」
みたいな対応して上司から注意を受けたこともありますし、対応業務が増えすぎてパンクしたこともあります。
そういう失敗から、あれこれとすこーしずつ試行錯誤して今に至る。
なので、やるのなら「間違いなくできそうなこと」からやってみて欲しい。
全部じゃ無くても、どれか一つくらいならあるのでは。
もしも僕の出した具体案が一つも参考にならなかったとしても、
「そうか、まずは自分の心を守ること優先で良いのか」
「自分の心を守りながら対応って、どうすると良いかな?」
「自分がやりやすいこと、出来ることはなんだろう?」
と、アナタ独自の対応策を考えたり、心構えをするきっかけになればそれだけでこの記事を書いた意味はバッチリあります。
具体的な対応策はどうしても職場や仕事の内容で大きく変わってきますし。
まず自分の心の平穏が守られつつ、具体的にどう対応するかは、上司や同僚を交えて相談してみてくださいね。
自分の心を守ることを心がけて対応して、その結果どうなった?
と、具体策をお話してきましたが、それでどんな変化や良いことがあったのか?といいますと。
僕の実体験で言えばこうなりました。
- 残業が減り、部署の利益率が向上した
- お客様との関係が良くなった
- お客様から追加発注をいただけた
残業が減り、部署の利益率が向上した
無理な対応を極力避けるようにお客様にも、社内にも伝えていくことで残業が減りました。
お客さんも少しずつ理解してくれるようになり、社内からも「いいから、とりあえずやってよ」みたいな依頼はほぼ消滅。
僕が窓口業務対応し始めた頃は毎日終電まで仕事してましたが、数年後、残業あっても1時間~2程度まで改善。
提示で帰宅できる日も時々あるように。
だいぶ働きやすくなっていたと思います。
(僕一人だけの力ではないです。周りの助けもあってこそです)
働きやすくなり、業務が効率化された結果、僕の所属部署は他の支店の部署よりも10%ほど利益率が高かった、
という数字も出ていました。
狙ったわけではないですが、思わぬ成果でしたね
お客様との関係が良くなった
これはどういうことかというと、
- 「無茶なことを言うお客様は去った」
- 「理解してくれるお客様は残った」
無茶な要求を求めるお客さんにはこちらの対応も「拒否、または交渉」になるので、相手も煩わしくなり、縁が切れます。
つまり解約になります。
空いた時間でこちらの事情をきちんと理解してくれるまっとうなお客様の対応をして関係を深めることができます。
付き合いやすいお客様と付き合えばさらに業務効率も上がりますし、信頼関係も築きやすい。
そして信頼関係が築ければどうなるか?
お客様から追加発注を頂いた
お客様から追加のご発注をいただけるようになりました。
それも毎月コンスタントにどこかのお客様から何らかのご注文やご相談があるような状態。
こうなると好循環ですね。
マトモに商売をやっていれば、紹介や追加発注はあります。
もし無いのなら、どこかしらマトモな商売になってない。
お客さん側にしても、新しく取引先を探すのなんて面倒でしょうし。
僕が窓口担当し始めた時の職場は追加発注の相談どころか、2日に1回くらいのペースで苦情があったような状態でしたが、やっぱりあれはマトモではなかったなと改めて思います。
クレーム対応で大事なことは、まず自分の心を守ること。回り回って会社とお客さんのためにもなる!
というわけで
「クレーム対応で気をつけることは、まず自分の心を守る」
というお話でした。
今日の記事は熱が入りました。笑
僕自身クレームの対応については思うことがあってずっと記事にまとめたいと思ってまして。
いろいろと実体験を交えてお話ししてみました。
書いた内容はどれも最初から狙って実践したわけではなく、
- 「どうやったら自分が倒れずに長く働けるか?」
- 「同僚や後輩に無意味な負担をさせないためにはどうするか?」
- 「誰か一人じゃなく全体がうまく回るにはどうすれば良いのか?」
- 「お客さんも会社も自分も大切にするにはどうするか?」
ということを一生懸命考えて、毎日ちょっとずつ試行錯誤した結果、
「まずは自分の心を守ることが大切!」
という結論に至ったわけです。
僕は以前から「クレームは宝だ!お客さまのニーズのカタマリだ!」
という言葉には違和感を感じていました。
確かに一理あるとは思います。
しかしその前に考えるべきことがある。
最前線でお客様と接して心をすり減らしている人がいる事実がすっぽり抜け落ちているのではないかと。
世の中の人全員が、罵声や怒鳴り声を聞いて、平気でいられる人ばかりではないのです。
管理職、責任者の人は最前線にいる人をただの兵隊だと思わないで欲しい。
そして実際に対応している前線の人も、自分の心と体を大切にして欲しい。
その場限りで無理して頑張っても、いずれ体を壊してつぶれる。
何も良いこと無いです。ほんと。
何かの本で読んだのですが、人の心はシャンパンタワーと同じ、ということ。
どういうことかというと、
- 一番上に自分の心のグラスがある。
- その下に家族、友人。
- その下に会社。
- その下に社会全体。
物理的にも精神的にも近い方から順になっている。
現実世界の人数も、そうなってますよね。
人の心はそういう構造になっているんです。
じゃあ、会社や社会全体のグラスを最優先して自分のグラスや家族のグラスを満たさないとどうなるか?
自分のグラス(心)は空っぽのままですよね。
まず自分の心のグラスを満たすにはどうするか?
その上でその下のグラスが満ちるにはどうするか?
まず自分のグラスを優先して水を注ぎ、溢れた水がその下のグラスを満たす。
「人の心はシャンパンタワーと同じ」
の理屈は人の心を例えるときにとても自然な構造だと僕は感じました。
もしもアナタが
- 自分の仕事に不備があり、お客様から苦情を頂いてしまった…
- 部下のミスで責任者としてお詫びしないといけない…
- とにかく怖いお客さんがいて、対応するのがツライ…
ということに苦しんで、こんな時、何を優先して、どう対応すれば良いか?
と悩んでいるのなら。
まず自分の心を大切にしてみてください。
具体的な対応策はこの記事のどれかを参考にしても良いですし、上司か同僚に相談してみるのも良いでしょう。
アナタの100%代わりが出来る人は絶対にいない。
守るべきはまずアナタの心。
どうかそれを忘れないように。
最終的にはそれがアナタだけじゃなく、会社もお客さんも守ることにきっとつながりますよ
クレーム対応でツライ思いをしているアナタに読んでほしい記事
お仕事しているとクレームやトラブルだけじゃなく、ホントいろいろありますよね。
他にも僕の過去の会社での実体験や読んだ本の感想の記事もありますので良かったら読んでみてください。
どれかひとつでも参考になれば嬉しいです!